2024.02.29
登山のススメ(2)−茨城のジャンダルムに挑戦
三寒四温を繰り返しながら春に向かうこの時期、アクティブな休日を求めて大子町へ。
大子町の冬のアクティビティといえば、以前もご紹介した低山登山がおすすめ。
昨年末に登った「奥久慈男体山」だけでなく、大子には登山初心者でも挑戦できる山がまだまだあります。(登山のススメ-冬の低山の魅力を感じてみよう/https://kenpokult.com/)
前回の登山の際にもご紹介させていただいた通り、冬の低山は天候や気温、虫が少ないなど、登山初心者でも比較的安心。
一方で、低山とはいえ、奥久慈男体山を登った時の達成感、爽快感はひとしおでした。
その体験をまた味わえないものか…そんな期待を抱き、今回は、常陸国ロングトレイルのプロモーションムービーのロケ地にもなっている「生瀬富士」に挑戦してきました。
生瀬富士は、袋田の滝の北にある標高406mの山。
標高こそ低いものの、登るのに両手を使う必要がある箇所やロープと鎖の張られた岩場の山頂付近など、山歩きの醍醐味を味わえる山…とのこと。
動画では、山頂付近の岩場が険しそうだったけど、大丈夫かな…
出発地は、袋田の滝にほど近い、無料の町営袋田第一駐車場。
この日は、天候に恵まれた爽やかな陽気でした。
前回、男体山登山の際に持ってくれば良かったと後悔したトレッキングポールを、今回は持参。
トレッキングポールは、平地や登りでの推進力が出て、体の負担も軽減してくれます。
▲今日の相棒。適切に使用すれば、心強い味方に
駐車場から、案内板に沿って登山道へ。
どんな山が迎えてくれるかとドキドキしながら分け入った生瀬富士の登山道は、思っていたよりも緩やか。
道は細いものの、動画で見た岩場のイメージが強かったので、これなら行けそうと登山を楽しむ余裕が出てきます。
▲いくら緩やかとはいえ、ここは山道。足元を這う木の根や、倒木には注意
トレッキングポールの助けもあって、今回は歩みも順調。
序盤から息が上がっていた前回とは大違いで、自信も湧いてきます。
この日も、大子の山は空気が澄んでいて、静か。
静かな山道では鳥のさえずりや、枯れ枝を踏み締める小気味良い音に心が洗われます。
静けさの中を歩いていく道中、前回も楽しかった巨岩やユニークな木、苔探しを今回も満喫。
見つけるたびについつい立ち止まってはカメラに収めてしまいます。
大きな岩はじっと見つめるだけでなんとなく気分転換。
こんな形になって苔生すまでの長い時間を思っていると、自分の小ささを感じ始めて…
自分が岩に思いを馳せるタイプだとは知らなかった。
意外な自分を発見できました。
心躍らせながら歩みを進めていたものの、少しずつ自分の足の動きが鈍っていることに気付きます。
それもそのはず。
少しずつ斜面の角度が変わって、野趣あふれる道が多くなっていました。
「歩いていた」はずの道はいつの間にか「登る」斜面に。
いったんカメラは忘れて、時には木の幹や枝に掴まったり、根っこに足をかけたりしながら、上へ上へと歩みを進めます。
この日は、2月とは思えない暖かさで、登るにつれて汗ばんできます。
前回、冬場とはいえ暑さのせいで息が上がってしまったこともあり、今回は調整できる服装で来ていたので、薄手の上着はこの時点で腰に巻くことに。
これが経験値か、と密かに満足感を噛み締めます。
▲休憩中、眼下に広がった大子の街並み。大子町役場まで見えて、改めて登山を実感
事前に生瀬富士の紹介で見た通り、急峻な道にはロープがかけられているので、それをしっかり掴んで斜面を登ります。
普段の生活では動かしていないのであろう筋肉が使われているのをひしひしと感じます。
ここからは適度に休憩を挟みながら、慌てずに。
自分の体力や経験を考えて、ペースをキープできるのも登山のいいところでもあり、重要なこと。
山道をなんとか上がってきたことで、生瀬富士攻略も見えてきたかと思われましたが…
見えてきたのが、今までとは違うゴロゴロと岩の転がる急斜面。
見上げるしかない角度に、一度休憩を挟むことに。
ここで諦めようかと険しい斜面を見上げていましたが、スマホのGPSで確認すると、山頂まではあと少し。
せっかくここまできたし、とリュックの肩紐をきゅっと絞ります。
先ほどまでより、より慎重にロープを掴み、全身を使って斜面をよじ登ります。
生瀬富士の岩は礫岩(れきがん)が多く崩れやすい部分も多いので、慎重に…
そうして斜面を登り切った先にあった…
山頂!
「生瀬富士」は低山ですが、山頂で感じる達成感はこの上ないもの。
そして「生瀬富士」の醍醐味といえば、「茨城のジャンダルム」。
岩の連なる険しい道を進む、スリリングな景観は、プロモーションムービーそのもの。
まさか自分が体験できる日が来るなんて。
▲これ以上ない青空に囲まれ、まるでCGのような絶景
絶景を楽しんだら、今度は下山。
斜面を下るというのは、簡単そうで意外ときつい。
滑らないよう踏ん張るので、太ももが悲鳴を上げますが、なんとかトレッキングポールの助けを借りつつ、時に慎重に下っていきます。
無事駐車場に戻って時計を確認すると、まだお昼時。
初心者にとって登山は1日がかり…のイメージが強かったのですが、これなら午後から観光も楽しめるので、1日たっぷり大子町を満喫することもできます。
本格的な春を前に、新しいチャレンジを探すなら、大子町で登山デビューしてみませんか。
【登山の際は、以下のことに十分気を付けてください】
・登山に適した靴を履くことはもちろん、防寒対策や、汗で体が冷えないように服装や着替えには気をつけましょう。また、初心者はトレッキングポールがあると、なお安心です。
・決められたルートを必ず守りましょう。
・入山時には必ず入山届を提出しましょう。
登山口付近にある入山届用ポストへ投函いただくか、電子申請や郵送で提出することもできます。
https://www.pref.ibaraki.jp/kenkei/a06_shinsei/mountain_climbing/
・自分の体調、体力を過信しないこと。下山まで含めた時間配分などを考えましょう。